バスケット部の鈴鹿君が好きなの。

ときメモGS…さ…いいと思うぜ。

鈴鹿とアメリカと私

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私が鈴鹿沼へ転がり落ちて集め出したものの一つに、GSの二次創作同人誌があります。


ハマりたての頃はとにかく本編をやり込みつつ公式の関連物を買い漁っていたのですが、同時にネット上でファンアートや二次小説も閲覧するようになりました。


やがてそれでは飽き足らず、中古同人誌を扱う専門店で紙の本にも手を出し始めてふと気付けば約半年で三ケタ買っている始末。
ずっとオタクとして生きてきましたが、間違い無く人生で一番薄い本を買っています。


勿論十数年前の中古のものだけでなく、新たに紙媒体で作品を発表して下さるはばたき市民様方の御本も楽しませて頂いております。
来年20周年を迎えるGSシリーズが、現在まで深く長く愛されている証でもありますね。
いつの時代のものであっても、素晴らしい二次創作を生み出して下さった神々には感謝の気持ちでいっぱいです。


そんな数多のまばゆい二次作品群を拝見して、改めて感じた事が一つありました。


主人公像の多様さです。


GSシリーズの主人公達は、SDキャラ以外ではっきりとした容姿は出てきません。
作中の台詞も最低限であり、勿論キャラクターボイスも無し。


プレイヤーが自己投影しやすいように、あくまでも控えめに作られております。
デイジー、バンビ等の通称名以外、デフォルトの名前すらありません。
なので、プレイヤーの数だけ「My主人公像」があるのは当然の話ですね。


そしてまた、ゲーム本編内でもお相手の男子ごとに微妙な性格の違いを見せてくれるキャラでもあります。
それも相まってますます彼女達の印象は枝分かれしていき、二次創作される方々の作品ごとに違う、多彩な魅力を放つカメレオンヒロインとなったのでしょう。


こういう主人公達ではありますが、オリジナルが全くの無個性というわけではないところもミソですね。
むしろ個性が爆発してます。


デート中の三択は笑えるものから大胆な台詞まで多種多様に選べるし、心の声にも自身の性格が出ていて面白い。
そんな彼女らが他のキャラ達との交流で見せる会話や行動が、我々プレイヤーの解釈によって各々の中での主人公像を何となくイメージさせてくれるのです。


さて、ここで鈴鹿のお相手をする主人公について考えてみたいと思います。
彼を攻略された方々は、ゲーム内の彼女にどのような印象を持たれましたか?


基本的には他のキャラを攻略する時と同じく、明るく朗らかな天然ピュアガール、といったところだと思います。
GSヒロインの鉄則である難聴+鋼メンタルも忘れず付け加えましょう。


私が感じた「鈴鹿ルート時の主人公」独自の特徴は、彼への叱咤激励の多さです。


勿論他の男子達に対しても、各々を励まし自信を持たせるような台詞やイベントは用意されています。
が、鈴鹿の場合はそれがかなり多めに作られている気がするのです。


その代表格であるスチルイベントは、やはり「悔し涙」でしょう。
ここで彼を再起させた主人公こそが、「鈴鹿ルートにおける正ヒロイン像」だと私は思っております。


行き詰まっていた彼を正しい方向へ導き、バスケへの向き合い方以外に心の在り方まで軌道修正させた彼女。
間違い無く、二人の関係性のターニングポイントとなった出来事ではないでしょうか。


shiyashiyo3.hatenablog.com

「悔し涙」スチルのディープな考察はこちら↑。


また、チア部で鈴鹿をIHへ連れて行くと見れる試合前の会話もザ・叱咤激励です。
ポイントは、主人公が全会話の中で彼に対して唯一「バカ!」と言ってしまう場面がある事。


shiyashiyo3.hatenablog.com

チア部IH会話詳細はこちら↑。


「バカ」はご存知の通り鈴鹿の口癖であり、主人公に対しても日常会話から照れ隠しまでしょっちゅう言い放ってますよね。
彼は「バカって言う奴がバカ」を体現しているキャラなので(ド失礼)、言われてもこちらは何のダメージも受けない訳ですが。


そんな彼に向かって、ストレートに「バカ」と口に出して咎めている。
あの「悔し涙」の時以上に、主人公が激しい感情をぶつけている訳です。
名前に入っているほどバカがデフォルト状態な彼ではありますが(ウルトラド失礼)、彼女が彼をバカだと言った事は確認出来る範囲でここだけでした。


いつも強気な鈴鹿がIHという大舞台を前に「勝てる気がしない」と弱音を吐いている事に対し、即座に奮い立たせる為に思わず言ってしまったのかもしれません。
そんな風に、大事な場面で躊躇無くものを言える強さを持ったヒロインだと思います。


そして叱咤激励の「激励」が爆発しているのが、ときめき会話で見せる彼への恥ずかしいほど過剰なベタ褒めです。
以前の記事でも何度か触れましたが、他のキャラよりも明らかに分かりやすく、褒めて、褒めて、褒め倒しております。
とにかく自分の好意を隠しません。


かっこいい、可愛い、素敵、シブい見とれちゃうといった容姿の賛美は勿論、
「お弁当作ってあげたい」
「腕によりをかけて茶碗蒸しを作りたい」
といった胃袋わし掴み系台詞でも猛アピール。


他にも、
「溺れたら鈴鹿くん助けてね」
「迷子になっても鈴鹿くんとなら……」
鈴鹿くんに抱きつきそうになったよ」
などという、思春期男子の瞬殺待ったなし!な返答で彼を翻弄してみたり。


かと思えば、
鈴鹿くんが白馬の王子様って素敵!」
「前世で、わたしたち恋に落ちてたかな」
等の恥ずかしすぎるメルヘン&スピリチュアルなおとめちっく台詞も。
鈴鹿ァ~~オメ~もデレデレすんなよチョロい奴め~とニヤニヤしちゃいますね(^ω^)


それらの言動や行動を合わせると見えてくる、私個人がイメージした鈴鹿ルートの主人公像。
それは、「いつでも彼を温かく見守っている女の子」です。


鈴鹿くんの成長はわたしが見守るよ」
というそのものズバリなときめき会話台詞もありますが、彼の事を本当によく見て理解していると思うんですよね。


これまた以前の記事に書いてるんですが、鈴鹿というキャラクターは勝気な熱血スポーツマンであると同時に劣等感を持った少年、というコンセプトで作られたそうです。
だからバスケ選手にしては身長も低いし、彼自身が格好悪いと思っている姿を主人公に見せるイベントが多い。
性格も他のキャラ達に比べて未成熟です。


shiyashiyo3.hatenablog.com

その辺りの詳しい考察はこちら↑。


けれど彼女はどんな姿を見ても、ずっと側にいて励ましてくれた。


「悔し涙」のように自暴自棄な八つ当たりをされても、静かに諭して見捨てなかった。
暴走しそうな時はすぐに咎めてくれて、失敗しても笑ってフォローしてくれる。
彼自身が良いと思っていない部分も、どんどん褒めて素直に好意を表してくれる。


恋愛沙汰に疎くて自分本位な性格だった鈴鹿が、今までの在り方を変えてしまうほど彼女を好きになる理由がよく分かります。
こんなにいつでも自分に寄り添って自信を持たせてくれる女の子には、人生で初めて巡り会えたかもしれません。


では、逆に。
彼女は彼をどう思っていたのでしょうか。


実は今まで彼女自身の思考について、きちんと考えた事がありませんでした。


先述のようにこの作品の主人公は、我々プレイヤーが自己投影しやすいように計算されて作られております。
なので、極端に言うと主人公=自分自身として没頭出来るゲームなんですよね。


だから攻略対象である彼等と本当に恋を育んでいるようにときめくし、主人公の目を通して高校三年間の青春を何度も追体験出来る感動があります。
読んで字の如く、まさにときめきメモリアル神ゲーです。


つまりは主人公と自分を別人格として分けて考える、という事をする必要性が無いまま無意識にプレイしておりました。
勿論彼女自身の個性が出る場面もあるのでガッツリ自分自身!という程ではありませんが、完全に合体(フュージョン)している感覚ではあります。


他のキャラを攻略する時はもう少し俯瞰的に「主人公とそのお相手」として見れるのですが、鈴鹿に関してはもう完っっっ全に自分が主人公に憑依してるんですよね……。
ガチ恋してるから。


そんなプレイ方法で真剣交際を楽しんでいたので、主人公の思考や台詞も自分の気持ちと混合して捉えておりました。
ときめき会話のベタベタなベタ褒めなんて、マジでそのまま自分の言葉とイコールです。
鈴鹿はカッコいいね可愛いね天使だね♥)


ところが先日、そんな己に転機が訪れました。
鈴鹿と過ごす三年間の日々を主人公の目線で綴った、二次創作小説を書いたのです。


冒頭で述べた通り私はGSの二次創作愛好家ですが、皆様の素晴らしき作品とゲーム本編だけで満足しておりました。
故に自分も何かお話を作ろう、という気は特に起こらなかったのです。
この狂ブログと脳内の妄想だけでアウトプットも自家発電も十分だよなぁ、と。


しかしたまたま彼の誕生日前にまとまった時間が取れたので、お祝いの賑やかしになればいいやと深く考えずに執筆を決定。
お話は主人公の一人称で進むので、ゲーム内で受けた彼女の印象を元に台詞や思考を考えつつ書いていきます。


「なるべくゲーム本編のイメージに近付けたい(その方が己の妄想が捗る)」という拘りを持っている面倒なオタクである私は、ここで初めて主人公自身の気持ちを深く探るようになりました。


彼との初対面時や初めて電話した時、デートに誘った時、普通から友好になった時、好き状態になった時、諸々のイベントの時。
本編では語られぬ場面で、彼女は鈴鹿の事をどんな風に思いどう見ていたのだろう?と。


恐らくこの段階で「プレイヤーごとに受ける主人公像」に差異が出て、二次創作の場合は作家ごとに個性の違うヒロインが生まれるのだと思います。
このみんな違って当たり前なのも、最高に面白い部分ですよね。
(なので、ここで私が描いた主人公像はあくまでも「私の印象に基づく本編内の主人公」だと思って下さいませ。)


鈴鹿と過ごした三年間を丸ごと綴るお話なので、ラストシーンは当然卒業式の日の教会です。
ここが一番重要な場面であり、最も書きたかった部分なので彼女の思考や行動を更に注意深く探りました。


彼が教会に現れる直前まで、彼女はどんな心境だったのか。
男子達が卒業式まで告白を待つのは教会の伝説やゲームシステムの都合等色々と理由がありますが、彼女が自身の想いを告げられぬ理由もあったのかもしれません。


鈴鹿に対しての場合は、夢を追って旅立つ人だからではないかと思いました。


主人公は今まで彼を叱咤激励し、ずっと近くで見守ってきた女の子です。
恋心でなく純粋に友人として応援してきたのかもしれませんが、「壮大な夢を追い遠い国へ行ってしまう」という彼の目標は、自分の気持ちに蓋をする理由として十分有り得るのではないでしょうか。


恋愛についての質問で、「面倒臭い、とにかく俺はバスケやってりゃいい」的な返答をされてますしね。
これに関しては「……今は」と含みを持たせているし、タワーのときめき会話で真意を聞く事も出来るのですが主人公がニブすぎて今いち伝わっておりません。


そんな訳で、告白されるまで彼の思考は
恋愛<<<<<<<<<バスケ(自分の夢)
である、と信じ込んでいたと思います。


このまま友人として、彼の夢を応援すると心に決めていたかもしれません。
或いはお互いの恋心を何となく察していたとしても、離れ離れになる運命が耐えられず踏み切れなかったのかもしれません。


そんな風に切なく思っていたかもしれない彼女に、彼のあの告白があったわけです。
ここまではほぼ私の妄想でしたが、この先は200%確信を持って書かせて頂きます。


鈴鹿の告白といえば、アメリカですね。
私が当ブログで事あるごとにイチャモンを付けていた、あの発言です(酷)。
しかしどれだけ文句を言いつつも、毎回必ずホイホイ付いて行くあの国です。
わたしも鈴鹿がSUKI~~~♥♥♥


あの愛の告白とセットの「アメリカまで付いて来い」発言ですが、秒でOKしつつも毎回「コレに即答で付いて行く主人公さんってスゲーよなぁ」「進路とか白紙になるのに」と余計な思考を漏れ出させておりました。
結ばれた喜びに涙しつつも、完全によっしゃ、アメリカ行くぞー!!という思考にはなれなかったのです。


ところが、今回初めて完全に自分と思考を切り離した「主人公の気持ち」を考えてみて分かった事があります。


あの告白に迷わずOKを出した彼女は、特別凄い事などしていない。
懐が深いわけでも、チャレンジ精神旺盛なわけでも、物事を深く考えていないわけでもない。


即答でアメリカ行きを決断出来るほど、鈴鹿の事が好きだというだけなのです。


ただそう思っているだけの、普通の女の子。
それが、鈴鹿ルートで彼の告白にOKを出す主人公なんですよね。


当たりめーだろ今更何言ってんだ!と鈴鹿にプンスカ怒られそうなオチなのですが、私にとっては天地を揺るがす大発見でした。


今までこんなに1000000000000%自分自身が入り込んだ状態で彼の告白を受け止めていたのか……と顔から血が出そうです。
いやまあ、そういうゲームだから仕方無いんですけども(KONAMIへ責任転嫁)。


告白を受けた彼女は彼にこう言います。


「……わたし、ずっとそばにいるよ。
 鈴鹿くんと一緒なら、どこへでも行くよ!」


アメリカに限らず、彼と一緒ならどこへでも行くと力強く言える理由。
それも何となく分かる気がします。


出会ってから告白を受けるまでの三年間、彼女の中で彼はずっと
鈴鹿くんはアメリカへ行く」
という、別離がある人として認識されていたと思うんですよね。


どんなにお互いの心の距離が近付いても、卒業後には笑って送り出さなければならない。
どれだけ側に居たくても、「行かないでほしい」とは絶対に言えないわけです。


彼の夢を応援する=別離になるのが前提だと思っていた彼女にとって、彼の「付いて来い」発言はまさに目から鱗の大逆転発想だったと思います。
そりゃあどこでも付いていくよね……良かったね、嬉しかったよね主人公……(落涙)。


あのときめき会話のイメージ通り、アメリカ行きを即座にOK出来るほど鈴鹿の事が大好きでたまらない主人公。
自分で二次創作を書こうと決めなければ、彼女の事をボンヤリとしか理解出来ぬままでした。


こんなに単純で大切な事を見逃していたなんて、私の鈴鹿力は主人公の足元にも及びません。
もう53万ぐらいになったかと自惚れておりましたが、まだたったの5ぐらいです。


いや待てよ?
つまり、これからまだまだ鈴鹿力の伸び代があるという事ですよね!(positive)
よーし、オラワクワクしてきたぞ!!
いつか主人公を吸収して完全体ヒロインになる日まで、待っててくれよな!鈴鹿!!