鈴鹿と出会って胸の湖にアルマゲドンが降ってきたあの日から、まもなく早一年。
恋に溺れた私はひたすらにKA・ZU・MA……の面影を追い求め、インターネッツの大海原へダイブする日々を過ごしておりました。
そんな中、彼を攻略した方々の評価・感想で多く目に付いたのが「鈴鹿くんは実際にいそう」というご意見です。
他のキャラ達は見た目も中身も架空の男子高校生っぽいけれど、彼だけは唯一実在していそうなリアリティがある、と。
確かに葉月や色サマは浮世離れしているし、もりりんやニイやんは同年代の男子達より精神的に大人っぽい。
ひびやんやせんせぇ、理事長達も「それっぽい人」はいそうではありますが、やはりどこか決定的な実在感には欠けます。
では、鈴鹿のリアルな男子高校生らしさとはどの辺りなのでしょうか。
他の攻略対象キャラ達に比べてルックスも普通だし、お家も庶民的だという事も理由としては挙げられそうですね。
この辺りはひびやんも同じなのですが、彼の場合「~ッス!」という喋り方が実在感に欠ける一番のネックだと思います(とても漫画のキャラっぽい)。
しかしそういった外見や家柄以外に、もっと内面的に「いそう」だと思わせる何かがあると思うのです。
それを探って参りましょう。
私の趣味の一つに上画像のような懐古本(80~90年代少女文化モノ)の収集、というのがあるのですが、その中から今回のテーマにぴったりの資料を発見致しました。
SEVENTEEN特別編集・日本全国女子中高生5000人大アンケート
「女のコ白書(最新版)」です。
女子中高生向け雑誌「SEVENTEEN」誌上で読者達に募った、様々なアンケート結果をまとめた企画本として刊行されました。
最新版といっても発売されたのは1990年なので、約三十年前の出版物なんですけどね。
現在はアラフィフぐらいに成長された方々がJC・JKだった頃のアンケートなので時代背景や価値観の違いも当然ありますが、思春期女子のリアルな回答は今読んでも瑞々しくて可愛らしくてTHE・青春!を感じるものばかり。
特にメイン項目である恋愛系の意識調査に関しては、どの年代でも共感出来そうな胸キュンエピソードが爆盛りです。
寄せられた回答を抜粋しつつ、中身を紹介していきましょう。
まずは
「片想いの嬉しかった思い出を聞かせてね♥」
という項目から。
「顔見るだけでうれしくなる」
「修学旅行のとき、どさくさにまぎれて手をひっぱられたこと。わたしもお返しに、ひっぱってやった♥」
「ときどき、ヘッドロックをかけてくれる」
「グループで海に行ったとき、ツーショットで写真を撮ったこと」
「学園祭でフォークダンスを踊っちゃった。パートナーチェンジがうらめしかった……」
…………………………………。
もう……もう私はコレを打ちながら、次々と繰り出される甘酸っぱさのジャブ&フックにフルボッコされて虫の息なのですがこんなものは序の口です。
この先はもっと具体的に波動を感じます。
「わたしが言ったくだらないギャグに、おなかかかえて大笑いしてくれた」
「クラス替えで同じクラスになったとき、だれよりもいちばん初めに”○○(苗字)”って呼び捨てにしてくれた」
「調理実習で作ったタコ焼きを食べてくれて”うまいっ!”と言ったときの顔。一生、忘れませんっ!!」
「学年スキー教室に行ったとき、だれよりも先にスキ―靴のはき方を教えてくれた。しかも、パッチンッてのが固くてできなかったら、はめてくれたの」
見える………私には見える…………。
「うまいっ!」と言いながらタコ焼きをハフハフしている弾ける笑顔が………。
スキ―靴の履き方を一番に教えてくれて、パッチンッまでしてくれる男らしい姿が……。(幻覚)
続いて交際中の彼氏がいる方々への
「“彼がいてよかった♥”と思うのはどんなとき?」
という項目。
「足が遅いわたしに合わせて、ゆっくり歩いてくれるとき。
たまにドンドン先に行っちゃうときもあるけど、すぐに気が付いて待っててくれるの。
人ゴミの中を歩くときは、必ず手を引っ張ってくれます」
挿絵置いときますね(嘘)。
いやでもコレぴったりすぎて……
鈴鹿……居たね……?
同じく交際中の方々への、
「忘れられない思い出のセリフやシーンがあったら、聞かせて!」
の項目。
「夜中の二時ぐらいかな、電話で話してて。
わたしが不安そうにしてたら
”ほんまにおまえだけやで。
オレ、おじいさんになっても絶対に忘れられへん女のコやと思う。
つきあってよかったって、心から一生思える”
って。うれしくてうれしくて、泣いちゃったことがある」
「”好きやよ”と言われてキスされたの。
お祭りの夜で、花火が上がった」
MA・DO・KA・・・。
キミも居たね……?ロマンチリクル♥
「彼の剣道の試合を見に行ったとき、激戦でやっと勝って、わたしのほうに向かって手を振ってくれたの。
”ロッキー”のエイドリアンになった気分だった」
「初めて手をつないだときのこと。
なんだかふたりともニコニコしちゃってね、ブンブン手を振りながら歩いたの」
ア~~~~~運動部の彼氏は絶対コレやってくれるよね……。エイドリアンになりてぇ人生だったわ(血涙)。
お手手繋ぎも本当にカワイイな~。
普通は付き合う前にあんな頻繁に手ェ繋ぎませんよねw(GSあるある)
「離さないでね、と言ったら、しがみついとけよって言われた」
お゛ウ゛フッッ(むせ笑顔)
ちょっと脳内の鈴鹿に「交際後だけど友好みたいなノリで言ってくれ」って頼んできま~す☆彡(ニコッ。
「彼が”オレは将来、オレゴンに行っていちご畑を耕して暮らすんだ”って言ったとき、
ふーんって返事したら”おまえも来るんだからな!”だって」
この彼氏、鈴鹿っぽいかどうかはともかくめちゃくちゃ可愛くないですか???
こういうどこまで本気だかよくわかんない事を突然言い出す(そしてしれっと甘い事を言う)男、ガチで好きです(知らんがな)。
お次は恋愛に限らず、
「今までで一番楽しかった思い出」
という項目です。
回答している年齢が18歳までなので、子供の頃から思春期までの「一番」なのが激エモなんですよね……。
「中三のころ、席替えでたまたま隣になった男のコとの毎日。
わたしが色が黒いと悩んでいたら、”健康的な少女やき、いいやん”と言ってくれた。
この言葉、最高にうれしかったです。
今はこの彼にぞっこんです。片想いだけど」
「好きな人と、少しのあいだだけど、同じ道を歩けたこと」
「小六の修学旅行に、夜、男子の部屋でポッキーを食べたこと。
いつも悪口を言う男子がポッキーをくれたので、うれしかった!」
まだ十代半ばとはいえ、「人生で一番楽しかった事」がこんなにささやかでキラキラしてて……泣いてまうわ( ;∀;)
この女の子達はもう立派な大人になっているのでしょうが、今も心の片隅でこのメモリアル達が輝いていればいいなぁ。
続いて、
「今まででいちばん感動した思い出」
の項目。
「中三の体育祭の”大なわとび大会”で、いつもイジワルな男子が
”せーのって言ったらみんな跳べよっ、がんばろー、ほかのクラスに負けられんもんな”
って言ってくれて、みんな必死になって跳んで、過去最高の記録が出せたこと。
もちろん優勝しました」
先程の項目でも出てましたが、イジワルな男子が垣間見せる熱さ・優しさに鈴鹿みを感じてしまうんですよね……。
「わたしが家のことで泣いてた次の日の朝、Mくんが待っててくれて
”きのう泣いてたっつうじゃん。どうした?”
って聞いてくれたこと。
”言いたくないんならいいよ”
って言ったけど、話したら”がんばれ”って言ってくれた」
MくんやさC~~~~~~なあ!!!!
人生で一番感動しちゃうよね(落涙)。
つらつらとアンケート回答をご紹介して参りましたが、何かこう……彼の「実在感」が分かるような気がしませんか?
今までも散々書いてきましたが、鈴鹿の性格設定というのは他のメインキャラ達に比べて一番未熟なんですよね。
主人公と親しくなるまでは自分本位で、女子には特に口も態度も悪くて。
食う・遊ぶ・バスケの事しか考えてない小学生並の思考だし、他のGS男子に比べると圧倒的に精神年齢が幼いと思います。
けれど、実際にはばたき市から現実世界へ戻ってリアル男子高校生達を観察してみると
「アレ???高校生ってこんなに子供っぽかったっけ?」
って思いませんか?
はばたき市の男子達にはもっとこう、思春期の危うさの中にも色気と漢気と包容力があったような……?と。
そう。
つまりはあの幼さこそが、「鈴鹿くんだけは実際にいそう」の正体だと思います。
現実の男子高校生はまだまだ未成熟で発展途上で、でも急に背が伸びたり逞しくなったりして心も身体もアンバランスなんですよね。
個人差はあれど、同年代の女子達よりもちょっぴり精神的に幼い子の方が多いと思います。
部活に夢中な鈴鹿ルートのシナリオはとても王道な「高校生の青春」感が強いのですが、彼自身が一番現実世界の男子っぽい性格をしているからそう見える部分もありそうです。
一人だけ思春期特有の青臭さが突出したリアクションばかり取るのも、他のキャラより子供だからかもしれません。
鈴鹿の思春期丸出し感についてはこちら↑。
とはいえこのアンケート結果を見ての通り、リアルJKの皆さんは同年代の男子諸君にしっかり恋をしている訳です。
まだ成長過程で頼りない部分もあるけれど、そんな中で垣間見せる男らしさや優しさに胸の湖がキュンキュン大氾濫。
ふと気が付けば、今まで意識しなかったクラスメイトのアイツの顔ばかり心に描いてしまう……。
思春期真っ只中の男子達には、そんな風に女子を惹きつける魅力がカニの身のようにギッシリ詰まっているのです。
アンケートに片想い・両想いに関わらず
「彼のこと、どのぐらい好きですか?」
という項目もあるのですが、その回答の熱量といったら並大抵ではありません。
「彼のためになら、車にひかれそうになっているのを、自分が飛び出していって、かわりにひかれてもいい」
「手をつなげたら、溶けちゃいそう。
虎もバターになるほど好き」
「一時間でも、十分でもいいから、ふたりきりで話ができたら、一生あまいものが食べられなくなってもガマンできる」
「猫がワン!と鳴いてしまうぐらい大好き」
「旧石器時代まで猛ダッシュできる。
もしつきあえたら、感激で泣きながらバック転しちゃうわ」
「一分間に地球を一億周できるほどのパワーを出せる!
この気持ちは、だれにも負けないと思う」
「ピラニアがいるプールに飛びこんで、100メートル、クロールしてもいいくらい」
「その人がこの世に存在して、同じ時代を生きてるってことだけで幸せ♥
その人のためなら火の中、水の中、イバラの道もなんのその!
街中を逆立ちして”LOVE LOVE I LOVE YOU”と叫んでもいいくらい!
だいすき♥だいすき♥あー!もだえちゃう」
あーー!もだえちゃう!!
(Me too)
なんという強い気持ち・強いLOVE……。
これを読むと主人公がアメリカ行きを即決して鈴鹿の告白をOKした気持ちも、VS状態になったライバル達の必死さも、丸ごと大納得できる気がしました。
思春期女子達の恋するパワーというのは、これほどまでに全てを凌駕するガッツとパッションがあるのです。
私も鈴鹿を助ける為にフェンスに突っ込んで足を負傷するぐらいなら余裕ですが、車に轢かれるのは無理かもしれません。
いやでも鈴鹿がニンニク持って能天気な顔して見舞いに来てくれるなら……(白衣の天使だね♥)
この本は隅から隅まで当時の女子中高生のリアルときめきメモリアルGirl's sideが溢れ出しており、どこを読んでも目頭がアツくなってしまいます。
現実世界の彼女達が恋したような、青春時代のどこかのページに潜んでいる、ぶっきらぼうで照れ屋な気になる男の子。
そんな実在感も、彼の大きな魅力の一つだと思うのです。
っていうか、まあ、
いるんですけどね。
(超実在)